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第7回講座|文部科学省委託 令和3年度教員養成機関等との連携による専門人材育成・確保事業

第7回講座 授業研究①

10月25日(月) 15:30~16:30

担当区市(担当指導主事)

秋田県横手市(鈴木 真弓)

概要

横手市では、「読むこと・書くこと」の講座を基に、第6学年の授業を提案します。本動画には、単元(全7時間)の第5時「話すこと(発表)」と第6時「書くこと」の学習場面を収めています。「書くこと」の資質能力を、子どもたちがどのように身に付けていくのかを捉え、小学校段階での指導の在り方について、みなさんと一緒に考えていきます。たくさんのご意見、ご提案をいただければ幸いです。

授業者氏名
伊藤 久美
清水 知
(ティーム・ティーチング)
学校名
横手市立横手南小学校
担当学年
第6学年
使用教科書
One World Smiles 6
(教育出版)
単元名
「 Lesson 4 My Summer Vacation 」
~夏休みの思い出を伝え合おう~
テーマ
読むこと、書くことの指導
講師
池田周(愛知県立大学教授)、明海大学教員他

事前課題

授業動画

資料

講座資料

講座アーカイブ動画

講座評価アンケートに寄せられた質問に対する回答

【質問1】
今回の動画で、児童が分からない単語を、指導者が紙に書いて手渡したり児童自らが辞書を引いて調べたりする場面がありました。児童と教師が関わりを持ちながら学習するという意味でとてもいいなと思いました。この場面において、辞書の代わりに「1人1台端末(タブレット)」を活用して、分からない単語を児童自身が調べる、という活動は考えられるでしょうか。ICT活用という点で、ご教授いただければありがたいです。

【回答1】
動画の中で指導者と児童が関わりをもちながら学ぶ姿は、私も良いものだと思いました。このような場面で、(対話で “How do you say ~ in English?” という表現を使わせるように) “How do you spell ~?” と英語で指導者に尋ねるようにさせると、ちょっとした英語表現の活用にもつながります。
一方、ご質問にあるように、タブレットを活用して自分で「分からない単語」を調べるという活動ももちろん考えられます。この場合、紙の辞書の欠点でもある「音声が出ない」部分を乗り越えることができます。「辞書アプリで分からない単語を調べたら、発音も必ず聞いて、自分でも言ってみましょう」というルールを作るとよいかと思います。

【質問2】
本時では、児童が英語で伝えたい内容について、初めに日本語で書かせてから、英語の表現を考えさせていました。言語活動をするときに、このような進め方でもよいのか疑問に思いました。

【回答2】
伝えたい内容を、そのまま英語でメモすることができれば理想ですが、たとえ高校生になってもブレインストーミングを母語(日本語)で行わせることもあります。これは英語ではない「母語がある」児童生徒にとって、内容面の深まりや論理構成を考えるときに母語を活用してもよいのではないかという考えによります。「英語は英語で」ももちろん重要な側面ですが、英語をツールとして用いる視点からは、まず日本語で思考する活動も部分的には取り入れても良いと思っています。
本題に戻りますが、今回の動画で「英語で伝えたい内容について、初めに日本語で書かせて」というステップを踏んでいたことについてですが、それが良いか悪いかという視点ではなく、「日本語でメモをとる際は、行った場所の『場所の名前』、食べた『食べ物の名前』、感想として『どんな気持ちだったか』など、単語レベルで書き出しましょう」とか、「(それらを表す)絵カードをまとめたり、イラストに描いたりしましょう」とか、質的な面で調整しながら、文レベルで日本語から英語の直訳になるような進め方にはしないことが大切です。メモを英語で取るにしても、小学校段階では「自ら単語の綴りを思い出して書く」ことまでは求めませんから、「書き写す」ために参照するものの準備が必要になります。今回の動画では、児童が伝えたい表現をまとめて配付し、それを「書き写す」段階で活用することになっていましたので、その点の配慮はなされていたと感じています。

【質問3】
書く活動の設定について,伺いたいです。
「一気に4文~6文という量は児童にとって負担が大きい,毎時1文ずつ書き,積み重ねるべき」というご意見を頂き,もっともと思いました。そうできるように計画した単元もありました。が,実際,今回の授業で児童は1単位時間で4文書くことができました。「書く」のは「音声で十分慣れ親しんだ語」を「例や手本を参考にしながら書き写す」のに,1時間の授業で何回か繰り返し発音した程度で「十分慣れ親しんだ」と言えるのか,文字を示すタイミングはいつか,など個人的に不安というか疑問に思うところもあります。どうするのが適切でしょうか。

【回答3】
普段の授業では、毎時1文程度、つまり「本時で最も児童に用いて欲しい表現」の書き写しを行って、単元の終末に向けて「積み重ねる」のが児童にとっても、指導者にとっても負担が少ないと思います。動画の授業では、前時に音声で「発表」をする活動を経て、それを「書き写す」活動へとつなげていました。ある意味、「発表」と「絵日記を書く」という大きなパフォーマンスタスクであったと受けとめています。だからこそ、ある程度まとまった量の発話と書き写しが実現されました。書き写す時間も十分にとってあったので、4文書けた児童が多かったのだと思います。
「音声で十分慣れ親しんだ」というのは、毎時、単元ごと、さらには既習表現を活用するSmall Talkなどあらゆる活動を通して、既習表現を繰り返し言う状況を設定してこそ成り立つものです。そのため、毎時1文書き写す進め方の場合は、まだ十分に音声が定着していない可能性ももちろんあります。だからこそ、書き写す直前に何度も発音し、書き写しながら発音し、書き写した直後にそれを見ながら発音(音読)してみるといった、「ずっと音を意識しながら」取り組ませる工夫が有効です。 文字を示すタイミングは、児童が決して「文字を見て児童が自分の力で発音する」ことを強いる状況にならないよう、「繰り返し発音してみた後で、「この(音声で表してきた)表現は文字だとこのように表されるんだよ」という気づきにつなげられる時です。単元のはじめの頃、聞いたり、言ってみたり(発音してみたり)、実際に友だちや先生とのやり取りで使ってみたりするときには、まだ文字を意識させなくても大丈夫です。自然に目に入るような状態で提示して文字を頼りにする児童への支援とし、最後に「書き写す」活動を行うときになって、改めて発音をしてから、それを表す文字を提示していく流れであれば、英語が得意ではない児童にも無理がないと思います。

【質問4】
外国語の辞書の活用について、子どもたちのレベルに合ったものを活用するとしたらどのようなものがいいか教えていただけますでしょうか。

【回答4】
LongmanやOxfordなどさまざまな出版社から出ているPicture Dictionaryがお薦めです。単なる絵辞書であるというよりも、対話文が載っていたりして、英語を学ぶための工夫がみられます。中学校以降のように文による「語の定義」が必要な段階に入れば、日本語の児童用国語辞典のような、Elementary Dictionaryのシリーズを使い始めると、語の定義もやさしい英語で書かれており、生徒にも分かりやすいので便利です。大人が「やさしい英語」を意識して話す時なども使えます。