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第9回講座|文部科学省委託 令和4年度明海大学との連携による専門人材育成・確保事業

第9回講座 9月22日(木) 15:20~16:20 授業研究③聞くこと・話すことの指導

講師 井熊ひとみ(J-SHINE理事 共愛学園前橋国際大学客員教授 育英短期大学非常勤講師)

担当区市(担当指導主事)

磯上 優美

概要
授業者氏名

福永 祐一郎 

学校名

いわき市立中央台東小学校

担当学年

第4学年

使用教科書

Let’t try 2(文部科学省)

単元名

Unit5 Do you have a pen?

テーマ

児童の伝えたいという想いを引き出し、英語表現を使って伝えることの楽しさや相手に伝わった時の喜びを感じながら、外国語に慣れ親しむ児童の育成

講師

井熊ひとみ(J-SHINE理事 共愛学園前橋国際大学客員教授 育英短期大学非常勤講師)

概要

いわき市では、「児童の伝えたいという想いを引き出し、英語表現を使って伝えることの楽しさや相手に伝 わった時の喜びを感じながら、外国語に慣れ親しむ児童の育成」というテーマで、第4学年の授業を提案しま す。本動画には、単元(4時間)の第3時の「友だちに自分の文房具セットを伝えよう」という場面を収めてい ます。授業者と児童、また児童同士が、自然な流れの中での英語でやりとりできるよう、場面設定を工夫しました。特に、この点についてご協 議いただければと思います。

事前課題

授業動画

講座資料

講座アーカイブ動画

講座評価アンケートに寄せられた質問に対する回答

講師への質問

Q1

年月日や健康確認のスモールトーク化をお願いしたいです。

A1

毎回の授業で日付や、曜日、天気、気分などGreetingにおいての英語の場面は毎回の授業開始時などに容易に作れると思います。子どもたちが先生や、友達とやりとりができるようにするにはわかりやすいトピックですね。Small Talkと区別しておきたいのは、単元のめあてとなるような内容であったり、既習事項を含めて単元に導入する内容をSmall Talkにとりいれて子どもたちとやりとりをしたり、先生が何をトピックにしているのかを推測したり、友達同士で尋ねあったりできるとよりスムーズに授業に入れますね。簡単な英語のやりとりでも自分たちだけで英語でやりとりができることが増えていくにはどんなことをトピックにしたらいいでしょう。
たとえば、季節に関すること、学校の行事などにからめた話題にすること、記念日や、誕生日、身の回りの生活に関したことを話題にすると、子どもたちは話したいこと、聞いてみたいことのイメージができ、機会が増えるでしょう。 
文科省では研修ガイドブックにいくつかの例を示しています。
Small Talkを行う主な目的は、(1)既習表現を繰り返し使用できるようにしてその定着を図ること、(2)対話の続け方を指導すること、の 2 点である。
2 時間に1 回程度、帯活動で、あるテーマのもと、指導者のまとまった話を聞いたり、ペアで自分の考えや気持ちを伝え合ったりすることである。また、5年生は指導者の話を聞くことを中心に、6年生はペアで伝え合うことを中心に行う。(2017文科省研修ガイドブック)
例えば、日付などについては、誕生日をトピックにしたりして、
T: Look at the calendar. September 30 th is my grandmother’s birthday.
I want to give her a birthday present. She is 80 years old. Do you have any ideas for her present? (そこで何か手がかりとして絵カードなどを数枚用意しておいて) 
I am thinking about the present for her. などと言い絵カードを見せて、どれが良いと思う?と尋ねて答えを引き出してみたりするのはどうでしょう。
Small Talk は、どの学年でも行って効果がありますが、主に、5年生では先生のお話をきいて理解できる事を主に、また6年生では先生とのやりとりや、友達同士でのやりとりができるようなめあてを持ちながら、組み立ててみるとよいと思います。
季節のことを言うなら、これからの季節にある行事を入れてみたりしてもいいですね。
T: We have a school trip to Nikko(日光). When is our school trip?
I want to see “Tosho-gu.” Do you know ”Tosho-gu?“
“I know.“ (と言って、子どもたちに挙手を求める) It is a traditional shrine.
What is “traditional?” It is very old shrine.
The weather in Nikko will be cold. It’s about 10 degrees there.
I think we need to bring a jacket.
のような話題にして、間に子どもたちに質問をなげかけてみたりするのもよいでしょう。
短い文章であることでその児童の反応を見ながら、トピックとなる「いつ」のやりとり、 「何をみたい」などの本科との関連のやりとりをしてみてもよいと思います。
そこで相槌をいれる例などを示すと会話が続くことも理解できる体験となるでしょう。
そう考えると、健康確認の目的でのSmall Talk とは何があるでしょうか。
3,4年生であれば、気分の言い方を色々と増やしていく、それに相槌をうちながら進めるのがまず思い浮かびますね。 高学年であれば、もう少しやりとりが続くようにするには、
話題を膨らませていくのもひとつでしょう。気分だけで(健康確認)Small Talk はそんなに話題は膨らみませんね。
しかし、ひとつ念頭に置きたいのは、どのクラスでもHow are you? と先生が尋ねて、それに自分の状態を返事する、という場面がよくありますが、たとえば、
S1: I’m sleepy. と答えたり、 S2: I‘m tired. と答えたりするいわゆる理由があるだろう会話になった時、そのままやり過ごさず、それにかかわる質問を投げかけてみるといいと思います。What time did you go to bed last night? とか、Did you watch TV? とか、
Did you do your homework? など、の質問が可能でしょうし、また、「どうしたの?」とまず尋ねてみる(日本語のやりとりでも普通に会話する)What’s the matter? などの言葉かけも会話が続けられるような自然なやりとりになるでしょう。
つまり、日付、健康(気分)などの話題はそれ自体では話がふくらみにくいですが、冒頭に書きましたようにそこからどのような会話に発展させるのかを考えてみましょう。その関わる会話が、既習事項だったり、今取り組んでいるめあてだったり、という可能性も含めて作ってみると良いと思います。

Q2

外国語科ではなく、慣れ親しみを目的とした外国語活動においても、can doリストを作成するべきなのか。また、それを児童に示すべきなのか。

A2

 Can-doリストの作成については、文部科学省は2013年3月に「各中・高等学校の外国語教育における『can-doリスト』の形での学習到達目標設定のための手引き」によって提示しました。小学校外国語活動や外国語科におけるcan-doリスト化については、特に明示されてはおりませんが、中高とともに小学校の外国語活動や外国語科についても、領域別目標(〜することができる)が示されておりますので、can-do形式での学習到達目標に基づいた指導計画を作成して、児童に目標を示すことが必要と考えます。3,4年生で学んだ内容が子どもたち自身にとっても、何がわかるようになったのか、これができた!という気持ちを育てていく「めやす」として設定しておくことはそのあとにつづく高学年の教科に向けてもつながりができると思います。児童にとって、漠然とした「がんばれた」「楽しかった」だけではなく、その単元でできたことが自分でふりかえれる意味でも、Can-do リストに基づいたふりかえりシートに書き込んだり、先生もそのめあてを把握し子どもたちがどのように理解できたかを確認する意味でもあると引継ぎの材料にもなると思います。
学習者にとっての学習改善、指導者にとっての授業改善のため、主観的になりがちな評価を避けるためにも、学校内での学習到達目標を共有し、それに基づくCan-do リストを作成しておくことはとても重要な役割となると考えます。

授業者への質問

Q1

aやanは区別しなくてよいのですか?授業開始のバウは違和感がありました。

A1

<aやanの区別はしなくてよいかについて>
単元を通して、できるだけ場面と聞くことを通して英語表現に親しんでほしいという思いがあり、黒板に板書することは行いませんでした。そのため、本時ではaやanの用法の違いについて書いて言及する場面は設定しませんでした。ただ、単元の最初にLet’s Watch and Thinkで外国の児童がカバンからリンゴを取り出す場面があったので、そこでは扱いました。

< 授業開始のバウについて>
授業開始のバウについては以前お世話になっていたALTの先生の時に行っていたもので、class room english として子ども達の中でも定着していたため、Greetingで使用しています。

Q2

コミュニケーションが苦手な生徒(緘黙を含む)や特別な支援や対応が必要な生徒が学級にいる場合の授業でも、コミュニケーションを取り入れた授業を行いたいです。何か助言などありましたらよろしくお願いいたします。ペアで文房具を伝え合う際に、特別支援を要する生徒に対してどのように配慮されているか。

A2

 本学級においていえば、特別な支援を要する児童はいませんが、相手に伝えることが得意でない児童も複数名います。今回の単元を通して感じたのは児童が本当に伝えたいと思える言語活動を設定すると、子どもは自然と思いを伝え始めるということです。本校で使っている教科書では単元末に友達に文房具セットを紹介することが例になっていましたが、ALTに日本の文化として自分の文房具を伝えるという目的をもたせたことで普段話すことや書くことが苦手な児童も「伝えたい」という想いを強くもって取り組んでいたように思います。また、中学年ではコミュニケーションの手段としての話すことに重きが置かれていますが、子どもが安心して話すためには英語表現をたくさん耳で聞いて、たくさん自分なりに口にしてみる時間をとることが何よりも重要だと感じました。

Q3

ALTに紹介する次の時間は、どのような形で紹介したのでしょうか。児童27名全員と別々に話すなら「やりとり」で、全体で(主にALTに紹介するとしても)話すなら「発表」のように感じました。また、紹介された文房具について、ALTはどのような反応をしたでしょうか。今回友達と練習したように、Do you have~?とALTに尋ねることもしたのだとしたら、話すことも聞くこともできる活動になったのだろうなと思いました。

A3

・ ALTに紹介する時間はどのような形で紹介したのか。
単元構想の段階では学習指導要領の取り扱いが「話すこと(発表)」となっていた  ので、全体(ALTを含む)に向けて1人対集団のような場面を設定していましたが、ALTにお気に入りの文房具を聞いてもらってから、自分もALTの話を聞きたいという子ども達の想いを受けて、児童27名全員が個々でALTに紹介するという形で実施しました。当初の「話すこと(発表)」ということより「話すこと(やりとり)」という要素が大きくなってしまいましたが、授業後の子ども達の感想からは、英語で伝えられた喜びやALTにコメントしてもらい、その内容が自分で理解できた喜びの声が全体の9割からあがりました。

・ 紹介された文房具についてALTがどのように反応したか。
ALTが日本のアニメや絵を描くことが好きということを踏まえて、子ども達が自分のオススメの文房具を紹介したので、Nice!やMe too.のほかにも、休み時間にどんな活動をするのが好きか、日本の好きなアニメは何かなど、既習事項の範囲内で児童とやりとりをしていました。

Q4

第4時で、ALTに発表した際の、児童が使った英語表現を教えていただきたいです。

A4

本単元で学習する Do you have~?やI have~.に加えてI like~.やIt’s~.など既習事項の内容のみを使用していました。時には日本語交じりの英語で、なんとかALTに自分の考えを伝えようとしている姿も見られました。