経済学研究科

概要

今日、世界は国民経済の枠組みを超えて、地球的規模で解決すべき多くの問題を抱えている。その病根は、20世紀から21世紀にかけ社会全体が大きく変容し、社会の基盤をなす経済構造も変化してきたことに起因する。本研究科では経済の現状が以下の4つのキーワード群に集約できると考えた。

 

減速する経済のグローバル化

現代経済は規制緩和・自由化を推進しながらグローバル化への一途を辿っている。一方で、脱グローバル化のうねりも高まっている。こうした混沌とした世界情勢下では、大企業、地域企業を問わず、海外経済事情の情報収集、経営戦略、技術開発、会計監査、マーケティング等、最新かつ全方位的なソリューションが必要となっている。

熾烈化する国際競争

世界の工場である中国のWTO加盟や海外投資の活発化、資金調達の国際化等、今や国境を超えた企業間、国家間競争が一層激しさを増している。このような中、新たな国際ルールや国際基準・標準の策定が不可避となり、それを遵守させる国際機関等の役割もこれまでになく大きくなっている。

公と私の役割分担

従来、政府が供給すると考えられていた公共財。これも民間が供給できるのではないかという新しい視点が生まれ、PF(I プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)の登場を促した。本格的に民間部門の役割の重さが増大していくにつれ、受益と租税負担の議論にも変化が現れてきている。

開発と環境・福祉の調和

経済のグローバル化は、アジア諸国や新興国の急速な経済成長と中国経済の市場経済化によって、一層拍車をかけられている。そこに資源開発・管理、人口政策、貧富・経済格差、環境等の問題が連鎖反応的に生じてきている。これらの問題は地球環境の有限性からくる可能性の限界や地球汚染等の制約を受け、財政的な予算措置等をも必要とすることから、きめ細かな配慮と国民的な合意を得る粘り強い努力が求められる。

本研究科の特色

  • 経済学研究の今日的ニーズに応える3つの科目群
  • 先端研究に触れることができる学術科目群
  • 学際的な実務研究を究める実務科目群

基礎と独創的な科目群(修士課程)

■科目群
ミクロ・マクロの経済理論、実証分析、ビジネス、税法通則から構成。学術および実務科目群研究に際しての理論的基盤を担う。広範な学問的視野で物事の本質を捉え、実証分析やビジネスの原理・原則、税法通則についての基礎的かつ高度な思考力を養う。

■学術および実務科目群
グローバル経済が進展し、国民経済の枠組みを超えて解決を迫られる課題も山積。一方、保護貿易主義の台頭に見られるような脱グローバル化の動きも高まる世界経済。今後ますます複雑化する経済の諸問題を、既存の経済学の枠組みを超えて考察・分析する「学術科目群」。および、経済学をはじめとする関連学術分野の知識を学際的かつ実務に応用するための「実務科目群」。
特に以下の領域において政策提案できる人材、高度な問題解決能力を有する職業専門家・会計人の育成をめざす。
①国際経済、財政、金融、政策運営、公私のあり方等、経済学を直接、利用・活用し得る領域。
②経済発展、環境、資源開発、福祉、人口問題等、既存の経済学が有効な解決法を十分に提供し得ていない領域。
③企業経営や家計の生活設計等、現実の経済問題に実践的に関わる領域。
④税務、会計等、企業において実務上の専門知識を要する領域。


■演習(必修)
上記の科目群に加え、研究手法、論理、社会的責任といった専門家としてのあり方を身につけるための演習科目を設置。すべての学生に履修を義務づける。

目標進路

  • 経済学・社会学系の研究者および教員
  • 商社
  • 国家公務員・地方公務員
  • メーカー
  • 国際機関スタッフ
  • シンクタンク
  • 税理士・公認会計士
  • 海外開発機関等

履修ガイドライン

修士課程/2年制

■基礎科目群
ミクロ経済学特論
マクロ経済学特論
実証分析特論
ビジネス特論
税法通則特論

■学術および実務科目群
財政学特論
金融論特論
経済政策特論
国際経済学特論
開発経済学特論
グローバル経済特論
所得課税法特論
消費税法特論
会計学特論
国際会計特論
財務分析特論
監査論特論
経営学特論
経営管理特論
公共経済学特論
資源・環境経済学特論
人口問題特論
社会保障特論
労働経済学特論

■演習
特別演習 Ⅰ(1年次)
特別演習 Ⅱ(2年次)
研究・論文技法演習

研究指導過程

修士課程/2年制 (入学定員15名)

■1年次
・研究指導教員の決定
・研究に必要な理論・分析方法論等(文献サーベイを中心に学習指導)
・研究テーマ選定に関する指導
・研究テーマの決定
・研究指導

■2年次
・研究テーマと論文作成に応じた研究指導
・論文題目の決定
・研究の進展と成果のチェック
・中間発表(予備審査)のための指導・助言
・論文提出・審査・最終試験・修士学位授与

・税理士試験について
特定の講義と特別演習(ゼミナール)を履修することで、税理士試験の受験科目(5科目)の一部が免除になります。(税法以外の科目については審査があります。)

「税法」に関する科目(4単位以上)と特別演習(ゼミナール)を履修する

→税理士試験2科目免除

さらに税理士試験で3科目受験、合格

税理士試験合格

主な研究指導テーマ (2024年度)

■修士課程 特別演習担当教員(予定)

 

池田 晋 教授

○ 企業不祥事の研究
○ 監査人の判断・意志決定に関する研究
○ グローバル企業のコーポレートガバナンス

 

岡村龍輝 准教授

○ 企業の競争優位性に関する研究(経営戦略論)
○ 企業の国際展開とその影響に関する研究(多国籍企業論、国際経営論)
○ 企業行動とその社会的影響に関する研究(企業と社会論、CSR論)
○ 企業行動に関する制度理論的研究

 

影山純二 教授

○ 人口経済学
○ 経済理論(ミクロ経済学、マクロ経済学)
○ 幸福度研究
○ 生物経済学

 

下田直樹 教授

○ 福祉国家の歴史的研究
○ 生活保障機能からみた社会保険と私保険の役割と関係の研究
○ 少子・高齢社会と社会保障改革の課題の検討
○ 雇用・賃金・労働時間の諸問題

 

寺村 絵里子 教授

○ 企業の人的資源管理(人事管理)に関する研究
○ 個人の就業行動に関する実証研究
○ 人的資源管理と企業業績の関係に関する研究
○ 日本的雇用慣行とジェンダー格差に関する実証研究

 

廣部恒忠 教授

○ 応用経済学(国際金融、ファイナンス、労働経済等への応用)
○ 都市・地域経営論(リージョナルマーケティング論等を含む)
○ 都市・地域経済学、経済地理学、地域研究
○ AI(人工知能)の経済・経営分野への応用
○ データマイニング手法等を用いた応用データサイエンス

 

宮﨑礼二 准教授

○ アメリカ経済論
○ 国際経済関係史
○ 世界経済論

※担当教員は変更となる場合があります。

シラバス

シラバスはこちらからご覧ください。

一般教育訓練給付金について

本学の経済学研究科経済学専攻修士課程は、厚生労働大臣の指定する一般教育訓練制度の指定講座です。詳細については、こちらからご覧ください。