不動産学研究科

概要

不動産学は、快適で効率的な建築・都市環境を造り利用するための学問であり、その研究対象は、私たちの生活環境すべてを含むといってよいほど幅広い。不動産学が主に対象とする都市は、土地や建物、公共道路や下水道、緑や大気の集合体である。その実態を調査・分析して、私たちの暮らしや経済活動の中で、土地や建物で構成される不動産をいかに利用すべきかを理論的・実践的に探究するのが不動産学である。

不動産学の研究及び教育は、米国のMIT、コーネル大学、英国のケンブリッジ大学、レディング大学等、欧米諸国の大学・大学院を中心に進められ、台湾・韓国などのアジア諸国においても不動産学に関する高等教育が行われてきた。世界的な傾向として、学部よりも大学院レベルでの研究が盛んな理由は、不動産学が経済学・経営学・工学・法学等、従来の学問分野を横断するかたちで成立する総合学問だからである。

しかし、日本では科学の対象として取り上げ、総合的に扱う研究・教育機関は未整備であった。包括的見地から不動産教育を行ったのは1992年開設の本学不動産学部が初めてであり、従来の個別学問分野で行われてきた研究成果を学際的視点から再構築した点に特色がある。総合学問としての「不動産学」の伸展をめざし、1998年に大学院博士前期課程、2000年に博士後期課程を開設し、日本唯一の不動産学の高等教育研究機関の地歩を固めている。

2018年度から博士前期課程は、基礎・概論と3つの専門分野に再編した。現実社会に即した問題解決型の高度な専門家の養成をめざすもので、研究と実務、市場と公共、制度の設計と運用を組み合わせて構成されている。

本研究科の指導教員は、出身学部・経歴ともにバラエティに富んでおり、日本の不動産市場や制度に深く関わる研究者、不動産鑑定士、産業界・官界で活躍したスペシャリストが多面的に指導する。

本研究科の特色

・経済・工学・法学3系統の学問成果を融合
・各界の実務経験豊富な教員を数多く招聘
・スペシャリティを磨く3つの専門分野

基礎と3つの専門分野

■不動産学基礎・概論

不動産学の基礎的な手法と概論を学ぶ。

 

■不動産アナリシス

不動産市場の把握、不動産を取り扱う際の情報の特性と利用、および、それらを前提にして行われる不動産投資について研究する。種々の意思決定に必要な不動産情報の利用・評価手法、市場を取り巻く環境の特性を理解するとともに、実態把握や現状分析の方法を修得する。

 

■不動産ポリシー

社会的存在としての不動産のあり方と、不動産への公的関与のあり方を研究する。不動産政策を歴史的・国際的視野のもとに理解し、不動産制度を国土の適正利用や国民経済の観点から位置づける。また、不動産事業のあり方へと研究を進展させる。

 

■不動産ビジネス

不動産事業を構築し経営・管理するための要因とその組み立て方を研究する。不動産の経営に必要な金融・組織等のあり方を考察する。また、管理運営のための物的・人的・会計的側面を理解し、専門的な不動産職能のあり方へと研究を進展させる。

目標進路

・不動産、その関連分野の研究者および教員
・国家公務員・地方公務員
・建設会社・不動産関連企業
・金融機関
・不動産投資顧問業
・コンサルタント業
・不動産鑑定士
・土地家屋調査士
・シンクタンク等

履修ガイドライン

博士前期課程/2年制

■不動産学基礎・概論
不動産研究方法論
不動産数理の基礎演習
日本不動産事情特論
地域再生特論
居住環境マネジメント特論
不動産企画・経営特論

■不動産アナリシス
不動産経済学特論
不動産計量経済分析特論
都市経済分析特論
不動産金融特論
不動産投資特論
アセットマネジメント特論
都市空間データ処理特論
都市空間情報分析特論

■不動産ポリシー
不動産公法特論
環境法特論
防災計画特論
建築計画特論
都市計画特論
都市空間デザイン特論
不動産政策特論

■不動産ビジネス
不動産私法特論
不動産取引法特論
財産管理法特論
不動産税法特論
不動産評価特論
都市空間マネジメント特論
不動産会計特論

■演習
特別演習Ⅰ・Ⅱ(1年次)
特別演習Ⅲ・Ⅳ(2年次)

博士後期課程/3年制

■不動産市場分析
環境・情報分析特講
空間情報分析特講
不動産計量経済分析特講
不動産鑑定理論特講
都市・地域経済学特講

■不動産経営・管理
不動産投資理論特講
不動産金融論特講
環境法特講
家族・相続法特講
企業不動産管理論特講
不動産市場分析特講
地域再生特講

■不動産計画・政策
民法財産法特講
建築計画論特講
都市計画論特講
住宅政策論特講
土地政策論特講
不動産公法特講
環境法政策論特講

■演習
特別研究Ⅰ(1年次)
特別研究Ⅱ(2年次)
特別研究Ⅲ(3年次)

主な研究指導テーマ (2024年度)

■博士前期課程 特別演習担当教員

 

兼重賢太郎 准教授(詳細を見る)

○ 都市法に関する理論的・実証的研究
○ 都市空間に関する法社会学的研究
○ 不動産をめぐる紛争解決システムの研究

 

小杉 学 准教授

○ 区分所有マンションの管理に関する研究
○ 区分所有マンションの建替え・解消に関する研究
○ 地方都市の居住地・商業地再生に関する研究
○ 公民連携まちづくりに関する研究

 

小松広明 准教授(詳細を見る)

○ 収益用不動産の価格形成に関する実証研究
○ 環境質の変化に伴う便益計測に関する研究
○ 投資家・居住者の不動産価値の意識構造に関する研究

 

斎藤千尋 教授(詳細を見る)

○ 都市空間の構成に関する研究
○ 居住空間に関わる情報処理の研究
○ 都市像に関する研究

 

浜島裕美 教授

○ 不動産取引に係る法的諸問題の研究
○ 区分所有法に関する研究
○ 環境に関する法的諸問題に関する研究

 

原野 啓 准教授

○ 住宅流通市場の活性化に関する研究
○ 住宅政策の政策効果に関する実証研究
○ 中古住宅市場の政策効果に関する実証研究

 

表 明榮 教授(詳細を見る)

○ 不動産業の倫理に関する研究
○ 不動産市場の国際比較
○ 競売商業施設の再生方案検討及び投資分析
○ 東洋の伝統的風水理論に基づいた立地分析
○ 東アジアの歴史的都市における都市空間の発展過程に関する研究

 

前島 彩子 准教授

○ 建築都市環境の地域性に関する研究
○ 建築生産・建築構法の変遷に関する研究

 

山本 卓 教授(詳細を見る)

○ 不動産会計(減損会計、投資不動産会計、固定資産再評価、資産除去債務、リース会計等)にかかる実証的・制度的研究
○ 企業不動産戦略(CRE)の実施方策及び効果検証にかかる研究
○ 不動産評価・コンサルティングの効果的実施方策にかかる研究
○ 固定資産税評価制度の国際比較にかかる研究
○ 環境不動産、環境経営にかかる研究

 

■博士後期課程 特別研究担当教員

 

兼重賢太郎 准教授(詳細を見る)

○ 都市法制の系譜学的研究
○ 都市空間に関する法社会学的研究

 

小松広明 准教授(詳細を見る)

○ 収益用不動産の価格形成に関する実証研究
○ 環境質の変化に伴う便益計測に関する研究
○ 投資家・居住者の不動産価値の意識構造に関する研究

 

斎藤千尋 教授(詳細を見る)

○ 建物群の配置のための情報処理システムの研究
○ 敷地境界に依存しない建築形態規制の研究
○ 都市像の表現手法に関する研究

 

浜島裕美 教授

○ 不動産取引に係る法的諸問題の研究
○ 環境に関する法的諸問題に関する研究

 

表 明榮 教授(詳細を見る)

○ 不動産業の倫理に関する研究
○ ヘドニックアプローチと空間統計学による不動産価格の分析
○ 東洋の伝統的風水理論に基づいた立地分析
○ 地価データの時空間分析モデルの構築
○ 東アジアの歴史的都市における都市空間の発展過程に関する研究

 

山本 卓 教授(詳細を見る)

○ 不動産会計にかかる実証的・制度的研究
○ 企業不動産戦略(CRE)の実施方策及び効果検証にかかる研究
○ 固定資産税評価にかかる実証的・制度的研究

※担当教員は変更となる場合があります。

シラバス

シラバスはこちらからご覧ください。

不動産学研究科ホームページ

一般教育訓練給付金について

本学の不動産学研究科不動産学専攻修士課程は、厚生労働大臣の指定する一般教育訓練制度の指定講座です。詳細については、こちらからご覧ください。