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第6回講座|文部科学省委託 令和5年度明海大学との連携による専門人材育成・確保事業

第6回講座 授業研究③(横手市)7月31日(月)9:00~10:30

講師 井熊ひとみ(J-SHINE理事 共愛学園前橋国際大学客員教授 育英短期大学非常勤講師

担当区市(担当指導主事)

横手市教育委員会 指導主事 鈴木 真弓

概要
授業者氏名

小田島 李花教諭

学校名

横手市立横手北小学校

担当学年

第4学年

使用教科書

Let's Try!2

単元名

Lesson3 I like Mondays.

テーマ

「聞くこと」「話すこと」の指導

講師

井熊ひとみ(J-SHINE理事 共愛学園前橋国際大学客員教授 育英短期大学非常勤講師

概要

横手市では、吉田研作名誉教授(上智大学)からご指導いただいた「Fish Bowl からOpen Seasへ」の考えの基、子どもたちが繰り返し英語でコミュニケーションを図りながら、必要な語いや表現を自ら獲得していく学びを目指して、本授業を提案します。本動画には、単元(全4時間)の4時間目の学習場面を収めています。子どもの気付きや問いを大切にしながら、「大海で生きる学び」を子どもたちと共につくることができるように、みなさんと一緒に考えていきます。

事前課題

授業動画

講座資料

講座アーカイブ動画

講座評価アンケートに寄せられた質問に対する回答

講師への質問

Q1

基本的なことですが、子どもを呼ぶのは、「さん」をつけるのが一般的ですか?娘がアメリカの学校で、下の名前を呼び捨てで、ここではどうするのがベターなのか、教えてください。

A1

英語の時間だから、こうした方が良いというルールは特にないと思います。学校ごとにどのような決まりをもっているでしょうか。一般的には性差別を無くす観点からは、男子も女子も最近は「さん」づけで呼ぶ場面に遭遇することが多い気がします。
それでも、英語の時間だけ「名前だけ」で呼びかけたり話しかけたりすることもよく見受けられます。どちらが正しいかは、判断が難しいところです。
子どもたちは環境に順応しやすいので呼ばれ慣れてしまえば、その通りに違和感なく受け入れるでしょう。まずは、学校単位でどうするべきかを決めていくのはどうでしょう。

Q2

外国語活動において、机・椅子などをなくした外国語ルームなどで授業を展開してはどうかと日頃から考えています。全国の外国語の学習環境の実態についての情報があればお伺いしたい。

A2

実態について、詳細にデータをもちあわせませんが、たとえば空き教室があればそこは
英語ルームとして使用する場所の設置しているところも見られますね。
事情が許せば英語ルームという環境は、家庭科室・理科室のようにその教室にしかない雰囲気や環境づくりができて子どもたちのモチベーションも変わるでしょうし、先生にとっても教具、教材が一定の場所に管理できる便利さもあります。
英語ルームに掲示できるポスターや、アルファベットの書かれたものなど、子どもたちにとってはすべてがインプットですから環境としては、マイナス要因はないと思います。
弊害になるかどうかは不明ですが、英語の時間ごとに児童の移動がスムーズに行えるかは先生でないとわからない学校の事情もあると思います。
椅子、机の配置については、どうでしょうか。低学年の子どもたちは、活動の種類として
椅子や机がないフロアに直に座っての活動をしている学校も見受けられます。
開放感もあり、身体を使った活動が好きな児童期はそうした場所は指導者も活動をしやすい効果もあると思われます。開放されすぎて、落ち着かないという実態も耳にすることもあります。また、感染症対策としての距離感をもつことも必要に応じて対策をもっておくこともあるでしょうし、ふりかえりシートなどに書き込む際に机があった方がいい、という状況もあるかもしれません。
具体的なデータは持っておりませんが、今回の各学校の事情などを情報交換してもよいかもしれません。「なんでも相談室」で共有してみる方法もありますね。

Q3

「初頭音を意識したチャンツを取り扱ってもいいかもしれません」というお話がありましたが、それはフォニックス指導になりませんか?(私個人としては、フォニックス指導をしたい思いはあるのですが・・・現状はできないので)

A3

学習指導要領では小学校で音声学(フォニックス)を扱わない、と示されている一方で、各教科書には、初頭音を意識した掲載もあり、フォニックスジングルなども提示しています。学習指導要領上にも、初頭音についての記載がありますのでぜひご覧になってみてください。また、文科省からのYou tubeの資料「なるほど!小学校英語」(読むこと書くこと)などにも詳細は示されています。文字と音の関係は日本語とは異なるので音がわからないと言葉を覚えることができません。音声で聞くこと、話すことを充分に行ってという前提ですが、中学年で充分に文字の名前(アルファベットの読み方)に慣れ親しんだあと、高学年では、文字(アルファベット)には、音読みがあるのだ、ということに気づく事ができるような学習も必要です。ルールはたくさんありますが、小学校で求められることは学習指導要領に則った指導が適切かと思います。

Q4

あいさつやほんの少しの会話でもNice!やMe, too!と反応が返ってくるように指導されているところは本当に素晴らしく、見習いたいと思いました。同時に「ジェスチャー」に関しては、みんなが同じジェスチャーをするように指導してしまうと、進級してから、中学校に進学してから、同じようにしない新しい友だちと対話するときに違和感を感じ、ぱったりとしなくなってしまうのではと懸念しています。段階的に自然なジェスチャーを入れるように指導するには、やはり教師側がたくさんモデルを示していくしかないでしょうか。

A4

ジェスチャーについてこうでなければいけない、という決まりはどこにもありませんね。
ただ、初期の学習者、特に児童期においては非言語コミュニケーションが助けになることが多く、効果もありますので指導に取り入れているところも多くあります。
ご質問のとおり、全員が同じジェスチャーをしないとならない、という事よりも、ジェスチャーをつけて教えていく事で、子どもたちが覚えやすい効果をねらってみるのはどうでしょうか。また成長と共に、ケースバイケースで子どもたちはジェスチャーなしでもコミュニケーションが取れるようになっていきます。
つまり、ジェスチャーなしで自分の表現、相手の表現が英語として理解でき技術として記憶が定着すればおのずとジェスチャーはなくなってもコミュニケーションが取れるようになると思います。TPR(Total Physical Response)という初期の学習者に効果的と言われている学習の方法は先生が英語と共に示していく動作や表情、身ぶり手ぶりで学習者が学んでいける方法も提唱されております。児童期は非言語コミュニケーションが有効であるようです。赤ちゃんが言葉を覚えていくように初めて出会う言葉がジェスチャーと共に学べるのは、きっと効果となると思われます。

Q5

ALTとの打ち合わせをする時間がほとんどありません。優先順位で最低限、確認しておけばよいことを教えていただきたいです。お世話になります。

A5

忙しい先生方にとって事前の打ち合わせ時間が取りづらいというお話をよく耳にします。授業のめあてを達成するために、指導効果をどこで獲得できるのか、と思うと、やはり
ALTの先生と少なからず、授業案を共有しておくことが大切だと思います。
何とかその時間を少しでも確保するために毎回の授業案を共有し、どこがポイントか、
どこでALTの先生に発話をしてもらうかは、決めておいた方が効果があると考えられます。結果的に、ALTの先生とのコミュニケーションがうまくいく方が児童の学習効果が
あると思います。

授業者への質問

Q1

週1回の外国語活動の時間で、あそこまで子どもたちが英語を話している姿に驚きました。おそらく、学級経営の中でも意識して英語を使っているのかなと想像しましたが、具体的にどのような場面で英語を使っているのか教えていただけたら幸いです。

A1

様々な授業で、あいさつや指示などの「クラスルームイングリッシュ」を適宜取り入れるようにし、毎日英語に触れることができるようにしました。また、外国語活動の授業中や授業以外でも、「How do you say~?」をどんどん使ってみるように、子どもたちにアドバイスをしました。

Q2

児童のリアクションがとても素敵だったのですが、貴校での外国語学習の積み重ねなのでしょうか。それとも、秋田県や横手市等のスタンダードなのでしょうか。

A2

本校では、「伝える力」「関わる力」の育成を全教育活動で進めています。外国語活動以外でも、ハンドサインや反応する言葉(なるほど、そうか、いいね、でもねなど)を使い、友達の発表にリアクションをするように指導しています。今回の授業は、なぜリアクションが必要かを児童と一緒に考えたことから、よいリアクションに結び付いたと考えています。

Q3

ALTの先生は授業に必ず入るようになっているのですか。もしそうでないとしたら、ALTの先生が入っていない授業のときに、特に意識して工夫されていることがあったら教えていただきたいです。

A3

横手市では、3・4年の外国語活動、5・6年の外国語のすべての授業にALTを派遣できるようにしています。新規ALTの来日ができない場合などを除き、小学校ではALTとのティーム・ティーチングを基本にしています。

Q4

教職2年目とは思えないくらい、落ち着いた姿勢で、子どもと外国語活動を楽しんでいらっしゃる姿に感動しました。これまでご自分がされた授業の中で、1番印象に残っている授業はどんな授業ですか。

A4

今回の授業がこれまでで一番心に残っています。外国語活動や英語に苦手意識をもっている児童も、楽しそうに英語でコミュニケーションする姿が見られて、私自身もとてもうれしく思いました。