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令和2年度教員養成機関等との連携による小学校外国語の専門人材育成・確保事業(第5回講座)

本講座は令和2年10月から12月にわたり、全5回実施しました。下記は第5回講座アーカイブになります。

第5回講座 12月22日(火)15:00~16:30
小学校英語指導の心得と中学校への接続の期待

明海大学

教職課程センター・地域学校教育センター

准教授 金子義隆

教授 石鍋浩

教授 百瀬美帆

多言語コミュニケーションセンター

教授 Patrizia Hayashi

准教授 Tyson Rode

外国語学部英米語学科

講師 前田隆子

 

J-SHINE 専務理事(上智大学言語教育研究センター教授)

藤田保

J-SHINE 理事(玉川大学大学院名誉教授・特任教授)

佐藤久美子

J-SHINE 事務局長

鈴木菜津美

講座内容

本講座のまとめとして、小学校英語指導者が知っておくべき第二言語習得と動機づけの基礎理論について学ぶ。次に、中学校英語につなぐために小学校段階で指導すべきことの理解を講義とビデオを通して深める。その後、協力機関J-SHINEの講師3名から受講者へのメッセージがある。最後に、明海大学の講座担当者から、これまでの講座に関する質問を踏まえた回答とともに受講者に対してメッセージを伝える。

講座前のタスク
  1. 中学校への接続について、あなたが意識していることは何ですか?また、実際に行っていることは何ですか?ペーパーにまとめる必要はありませんが、整理しておきましょう。

  2. 以下のリンク先の資料を読んで、ご自分の学校でも活用できることを考えましょう。

  3. 第3回講座でも視聴した、以下のビデオ(約8分)を再度視聴してください。そして、ご自分の授業で活用できる点を整理しておきましょう。

講座アーカイブ動画
講座書き起こし原稿
講座中に使用した資料
講座後のタスク

中学校への接続を意識した指導を実践し、その内容や児童の様子を他の先生方と共有しましょう。

講座実施後のリフレクションシートにおける質問と回答
【質問】

J-SHINEの資格のCEFR B2には英検準1級程度とのことでしたが、TOEICでの代替えはききますか。その場合何点が基準でしょうか。現職小学校教員でも資格を取ることはできるのでしょうか、その場合はどのような手続きが必要ですか。

【回答】

もちろん、TOEIC等、他の資格試験でも受け付けています。TOEICの場合は一般的に普及しているL&Rに加え、S&Wのスコアも合算して基準としています(S&Wのスコアをそれぞれ、2.5倍してL&Rと合算し、1560点以上がCEFR B2となります)。

また、現職の教員の方にも資格を取得いただくことはもちろん可能です。ただし、現時点では、資格を取得いただくためには、「登録団体」と呼ばれる団体で所定のカリキュラムを受講することが必要になります。

 

【質問】

やり取りに関して、学年が上がるごとに何を気を付ければよいでしょうか。現在は4年生を担当しているのですが、来年は5年生を担当します。その時に、どのようなことに気を付ければよいかを知りたいです。

【回答】

学習指導要領解説の「第2節 英語 1 目標 (3)話すこと[やり取り]」を参考にしてみましょう。

中学年では指示や依頼に応じる活動でありましたが、高学年では相手の依頼に対して、自分で考え判断して、伝えるといったことを大切にしたやり取りが求められます。中学年の自分の身の回りのことから発展して、高学年では日常生活に関する身近で簡単な事柄について自分の考えや気持ちなどを伝え合うことが求められます。中学年では、英語を使ってやり取りができたという達成感をもたせるために、教師や友達のサポートを受けながらやり取りを進めていきますが、高学年では、質問したいことを自分で考えて質問したり、質問に対して自分で考えて答えたりし、自分の力で伝え合うことを目指しています。

併せて、学習指導要領解説の「第2節 英語 2 内容 (3)言語活動及び言語の働きに関する事項 ウ 話すこと[やり取り]」も参考にしてください。

 

【質問】

教材、教具が不足しています。現在は、ALTが準備してくれていますが、これからどのように各学年で教具を整備していけばいいでしょうか。

【回答】

教材・教具は授業のねらいや活動に沿って学級担任の先生が中心に作成することが望ましいと思います。なぜなら、児童の興味・関心や実態をしっかりとつかんでいるのは担任の先生だからです。そこにALTのアイデアを加味することができればより自然な英語を使った教材や教具になるはずです。

また、各担任の先生が作成した教材や教具は、どこか一カ所に蓄積していき、誰もがいつでも使えることができるようにする、そして、誰もがその教材や教具を改良しさらに蓄積していくようにするとよいと思います。学校共通の財産になりますね。

 

【質問】

音声をなかなか聞き取れない児童への対応はどうしたらよいでしょうか。

【回答】

自分で発音できない音は基本的には聞き取れません。ですから、児童には正確ではなくてもいいので、聞こえたように言ってみるように励ましたらいいと思います。最初から正確な音を追求しないで、児童が言える範囲で言えるようにすることでいいと思います。そのように英語の音に慣れていけば、少しずつ聞き取りが上達していくと思います。

 

【質問】

疑問に思ったことで、中学校の授業で"eat" を"ate"に教師が自然と言い直し(リキャスト)していたのですが児童にとっては何で変わったのか分からないままやり取りをしていました。簡単にでも文法の説明をするのは必要だと思うのですが、どうなのでしょうか?

【回答】

過去の文脈がはっきりしている場面では、"ate"を使うことを子ども自身に気付かせることが必要だと思います。そのためには、教師や友達とのスモールトークなどの活動の中で"ate"のインプットにたくさん出会い、自分でもアウトプットしていくことがいいと思います。

このような活動を体験していく中で、教師が自然に言い直し(リキャスト)をしたときに、やがて自分の間違いに気付けるようになると思います。

 

【質問】

英語力を伸ばすためには今からどんなことをしたらいいですか。

講座で拝見した英語の先生は、生徒の間違った英語文法を正しく直してリキャストすることによって正しい英文法に気付かせていました。しかし、中学英文法も全部忘れてしまった私には、正しく直すこともできません。どのように学び直せば良いのか、素敵なアイデアがありましたら、ぜひ教えていただきたいです。

【回答】

小学校の先生たちが授業の中で必要になってくる英語力は、日常的な英会話力だと思います。ですから、場面設定のある音声付き英会話集などを利用して、耳から聞いてたくさん発音して覚えてみたらいいと思います。

実は、日常会話で使う表現はそれほど多くありません。一度覚えてしまえば、いろいろな場面でも活用できるものです。日頃から、NHKラジオの基礎英語などを毎日少しずつ聞きながら、日常的な会話に慣れることもいいかもしれません。また、授業のスモールトークで使えそうな場面を想像しながら、練習するのもいいですね。文法はまずそれほど気にせず、会話中心でいいと思います。

英語が話せるようになったら、その喜びをぜひ子どもたちと共有していただきたいと思います。頑張ってください。